白血病の少女と命の重み。そして失恋その2

白血病の少女と命の重み。そして失恋その2

リンネの自己紹介 第2話

僕は特に苦労することもなく、中の下くらいの高校に進んだ。

多感な高校生男子の多くがそうであるように、少し斜に構えはじめていた。

 

内向的な性格の僕は、中学も高校も部活には入らず帰宅部。

相変わらず、ロールプレイングゲームばかりしていた。


高校時代には、仲が良くて好きな女の子がいた。

でも、僕は時々すごくネガティブになる。

そのせいで、ある日「きもい」と言われそれきりになった。

繊細すぎるのだろう。


勉強は、好きな科目だけは異常に点が高かった。

でも、他の科目は赤点だらけ。

音楽や美術なんて成績は1か2だった。


高校3年の時には、体育のサボりすぎで
卒業が危ぶまれる事態に。

テニスの授業では大人っぽいクラスメイトの女の子と
ベンチでサボってばかりだった。


卒業後の進路相談は悩ましかった。

理学療法士の学校に興味があったけど
理系科目が致命的で諦めた。

美容師にもなりたかったけど、色盲で断念。

そんな僕に、人生一回目の転機が訪れる。


僕はオンラインゲームをしながらブログを立ち上げ
歌詞のようなものを書いていた。多感な高校生らしく。

ウェブでやり取りしていた、ロンドン留学中の女の子に
心惹かれたりもしていた。


そんなある日、一通のメールが届いた。

 

「あなたの詩を読んで、自殺をやめました」

 

僕は驚いた。

送ってきたのは

19歳の白血病の女の子だった。

 

今では治療可能な病気だけど、当時はまだ医療が追いついていなかった。

彼女とはすぐに仲良くなり、いろいろな話をした。


僕はまだ若く、人の気持ちを深く考える余裕はなかったが、
彼女はこう言った。

「今日は話を聞いてくれてありがとう。
私の話を全部聞いてから意見を言ってくれるのが嬉しかった」

その言葉を聞いて以来、
僕はできるだけ人の話を先に聞くことを心がけるようになった。


この経験を通じて、僕は音楽の道に進むことを決める。

「僕なんか何の役にも立たない」と思っていたが

人の役に立てるかもしれないと思えたのだ。


ギターはFコードがなんとか弾ける程度だったけど、

「なんとかなるだろう」と軽く考えていたことが

とんでもなく甘かったのだと痛感することになる。


彼女は、僕が音楽学校に入学する年の1月に亡くなった。

僕は三日三晩、涙が枯れるほど泣いた。

あれほど泣いたのは、最初で最後だったと思う。


そうして音楽の道を選んだ僕だが、待ち受けていたのは困難ばかり。

クラスメイトは、みんな小学校から音楽をやってきたようなやつらばかりだった。


続きは次回。

クラスで最低ランクだった僕が、表彰、そして上京。


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