豆腐メンタルで働くのも怖かった僕が、盲学校のバンドで得た“諦めない力

豆腐メンタルで働くのも怖かった僕が、盲学校のバンドで得た“諦めない力

リンネの自己紹介 第4話

僕が鬱になった理由と、人生を変えた人たちの話

僕は、とにかく働きたくなかった。
高校生の時にホテルの皿洗いや生協のレジをやったけど、どんくさくて釣り銭をよく間違えた。
「僕は仕事が向いていない」
そう感じて、働くのが怖くなった。

ゲオでの苦い経験

卒業して最初のアルバイトはレンタルビデオのゲオだった。
すぐにDVDにロックをかけたまま貸し出してしまう失敗をして、先輩バイトがお客さんの家に謝りに行った。

先輩バイトに嫌な顔をされ、僕は申し訳なくて2か月で辞めた。
彼はホビットのような小男だった。

休憩室はゴミ箱の中のように汚い部屋で、ヘドロまみれの扇風機をきれいにしたのは僕だけで
みんなはモンスターハンターに夢中だった。
「ここは自分のいる場所じゃないんだろう」と思った。

僕の教育を担当してくれた方はみんなから嫌われていたが、やはり僕にはよくしてくれた。

 

モグリのマッサージと、ギターが弾けなくなった話

両親の肩をもんだり、マッサージをするのが好きだったから
「こういう仕事ならできるかもしれない」
そう思って、マッサージ店に応募した。

スタッフには美人の元キャバ嬢と、柔道家みたいな男と、元金融系の目が笑ってないお兄さんがいた。
社長はうさんくさかった。

本店で1か月修業をした後、有名な温泉街に併設する店に移動することになった。
移動中の車の中で、僕は社長に聞いた。

「もしマッサージで怪我させちゃったらどうするんですか?保険とかあるんですか?」

社長は笑いながら言った。

「今までそんなこと起きたことないから、大丈夫だよ!」

その言葉に余計不安になった。

温泉街の店では、気のいい先輩や面白い同僚に恵まれた。
そこにはやはりみんなから嫌われている女性がいたが、僕にはよくしてくれた。

特に中学中退した後、慶應に進学した優秀なお兄さんが僕に多くの文化を教えてくれた。

村上春樹、パット・メセニー、ポール・スミス……
僕は新しい世界に夢中になり、本や音楽、ファッションにどんどんのめり込んでいった。

でも、仕事には限界があった。
親指が曲がらなくなり、ギターのピックが持てなくなったのだ。

「このままギターが弾けなくなるのは困る」

僕は仕事を辞める決意をした。

鬱になった話

社長に辞めたいと伝えたけれど、なかなか辞めさせてもらえなかった。
1、2週間後、無理やり辞めた。「バックレた」ってやつだ。

電話は着信拒否したが、最後に来た誹謗中傷のメールに心が折れた。

僕は1週間で10kg痩せ、鬱っぽい感じになり
1年間のニート生活に突入することになる。

今の僕しか知らない人は、僕のことを「精神的にタフな人」と思うかもしれない
でも、若い頃の僕のメンタルは豆腐だったのだ。

盲学校のバンドで学んだこと

ニート中だったがギターの先生に誘われて、盲学校のバンドに参加したのは大きな転機の一つだった。
そのバンドのメンバーは全盲や弱視でありながら、それぞれの楽器を見事に演奏していた。

中でもベースを弾く女性は、弱視の上に左手の指が複雑骨折で半分使えない状態だった。

「先生に言われたの、使える指で弾けって」

と笑顔で言った彼女に、僕は心を打たれた。

僕も「諦めないで自分にできることを見つける」大切さを、彼らから学んだ。

どんな状態でも、どんな境遇でも

明るく前に進むことができるんだ。

このバンドではテレビ局のチャリティライブ、美術館、理学療法士の学会、カフェ、養護施設なんかで演奏した。

自分の音楽活動も続けていて、お祭りでアイルランド音楽を演奏したり
カフェバーでオリジナル曲を演奏したり
スティーリー・ダンやノラ・ジョーンズの曲をスタジオでセッションしたりしていた。

同時にこのままでいいんだろうか?
音楽を続けていく情熱が僕にはあるのか?

そう悩んでいた時、何度目かわからない転機が訪れた。
祖母が脳梗塞で倒れたのだ。

あなたのためのメッセージ

僕が今、占いや相談を通じて人を支える仕事をしている理由は、こうした経験にある。
挫折や不安、諦めかけた気持ちを乗り越えた時、人は必ず新しい景色を見られる。

あなたが何かに迷った時、僕は一緒にその道を探したいと思う。

続きは、次回。
「祖母の脳梗塞と、父との和解、そして上京」

おまけ:憧れのロンドン女

高校1年の頃、MSNメッセンジャーというチャットアプリみたいなのが流行っていた。
なんのご縁かロンドンに留学してアートを専攻している女の子と仲良くなった。僕は絵描きに弱いのだ。
彼女が一時帰国するということで、東京と大阪でオフ会が開かれたので参加した。

まあ憧れって不思議で、会っちゃうと冷めたりするんですよね…

帰りにラーメン二郎目黒店にウキウキして入ったが、麺が多すぎてモタモタしていると店を追い出された。
やっぱり東京は怖い町なんだと思った。